DARIUS remix colum#1(basiscape並木)

basiscape 1986年11月、某誌のショーレポートで「三画面」「魚型巨大戦艦」のキーワードに興奮し、翌月某誌の付録ソノシートで初めて「ステージ1(CAPTAIN NEO)」を聴いて、未来を予感させる刺激的なサウンドに耳からウロコが!…今回はそんなリアルタイム世代の視点から書かせていただこうと思います。皆さんこんにちは、ベイシスケイプの並木です。

思い出深いのはやはり、ファーストコンタクトですね。当時中三だった僕は高校受験を終えたある日、松戸駅前の今は亡きゲームセンターにて初代ダライアスと遭遇しました。これがあのソノシートのゲームか!そう、第一印象はとにかくサウンド!…え、三画面の映像じゃないの?いやもうすごい人気でして、人だかりのせいで全く見えないんですよ、画面が(笑)。

namiki  熱気でムンムンした暗い店内の人ごみから、ゴゴゴゴと筐体を揺るがす低音とキィーンと耳をつんざく高音とが鳴り響いて、他には類のない「ダライアス特有のムード」を醸し出していたのが、今でも鮮烈な印象として残っています。そうですね…あえて例えるなら、小さめのハコのクラブの雰囲気が近いといいますか、あとこれはヘンな例えですけど、ラッシュアワーの地下鉄のホームに電車が入ってくる時の「アノ感じ」に近いです!って、何となく伝わり…ませんかね(苦笑)。
ともあれサウンドだけで存在感のあったダライアスですから、何時間か並んでやってきた初プレイの、三画面映像・サウンド・ボディソニックの相乗効果によるインパクトは相当なもので、むしろゲームというより、何か未来的な神秘体験のように感じられて、とにかく興奮したものです。

 さて、そんな出来事から20年もの歳月が流れ、かつてのゲーム小僧もすっかりオヤジとなって久しい2007年10月、我々の元へ突如「ダライアスリミックス」のお話が舞い込みました。「あの人気シリーズの楽曲を今、アレンジするんですか!?」というわけで、プレッシャーを感じつつ思案を始めたところ、ほどなくしてスィープさんより「初代ダライアスのボスシーン7を担当せよ」とのお達しが…おお、あのとても有名なラスボスの曲を一体、僕にどうしろというのですか?!(ひそかにボスシーン3をねらっていたのに)
このような流れでお題も決まり、あれこれ思案を重ねてアレンジの方向性を固めていくわけですが…そうそう都合よくアイディアが浮かぶはずもなく。苦悩するまま時は流れて締切は迫り、ついに「このままではイカン!」という段にきてようやく思い立ち、いざフィールドワークへ出発!都内のゲーセンで今なおご健在の貴重な三画面筐体のシートに座り、ショットをバリバリ打ちながら構想を練ることにしたのでした。(ちなみにその時の戦果、CDのライナーノーツに記してます)

こうした努力の甲斐あってか?今回のアレンジの柱となる二つの方向性が決まりました。

まずは「原曲のメロディを、自分なりの解釈から料理すること」─いわゆるアレンジ制作におけるセオリーでしょうか。そしてもう一つが「かつて味わった『ダライアス特有のムード』を、自分なりに再現すること」─前者の方向とは反対に、20年前の初期衝動に対してできる限り忠実に従い、ラスボス戦における情景やプレイヤーの感情などといった要素を織り込みつつ、原曲重視での再構築を目指しました。アルバムのラストを飾る曲ということで、前半はまずゆったりとしたテンポに乗せて「静」を意識しつつ前者の方向で。転じて後半は「動」のノリで、まるでタイムスリップしたかのように原曲と同様のFM音源とADPCM音源の音色を使用しつつ、後者の方向で仕上げてみました。

  ここで、今回ダライアスのFM音源音色を再現するために使用したVSTiを紹介させていただきます。「VOPM」というフリーで使えるソフトシンセですが、扱いやすい上に再現度が非常に高くてオススメです。最近バージョンアップもされましたので、FM音源に興味のある方はぜひお試しください!
URL : http://www.geocities.jp/sam_kb/VOPM/

さて、今回はこのような形で、リアルタイム世代のアレンジ制作者という立場から語らせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?リスナーの皆さんそれぞれがお持ちになっているダライアスへの思いや感情と照らし合わせながら、今作「ダライアスリミックス」の音世界をお楽しみいただけましたら幸いです。
また「ダライアスを知らない」「初めて聴いた」という方。個性的な音楽にもし興味が湧きましたら、原曲を聴いてください!ゲームを楽しんでください!!シリーズの続編は色々な機種でリリースされていますし、最近では携帯電話でもプレイできます。また、ネット上でサウンドトラックを購入することもできますよ。詳しくはタイトーさんやズンタタさんのwebページをチェック!
URL : http://www.taito.co.jp/
URL : http://zuntata.jp/

そして、さすがにハードルは高くなりますが、今なお現役で稼動する三画面筐体に興味はありませんか?まだ何台かは国内のゲームセンターに存在するようですから、時が経って伝説となってしまう前に、今のうちに一度プレイされてみてはいかがでしょうか?(東京ですと、新宿ゲーセンMIKADOさんで遊べますよ)
URL : http://mi-ka-do.net/
Mikado_shop