作曲家 岩垂徳行 様より『メサイヤ GMC VOL.1 ~ラングリッサーⅠ・Ⅱ・Ⅲ~』リリース記念 スペシャルメッセージ

ラングリッサーに想いを寄せて

※日記をつける習慣はないのでうろ覚えであることを勘弁してください。

 最初にメガドライブ用の「ラングリッサー」のお話を頂いたときは、僕は並行して同じメサイヤの「ジノーグ」の楽曲製作をしていました。自分的にはこちらがメインだったので、ラングリッサーは当時働いていたCUBEの複数人で作曲をしようということになり、藤岡央さん、溝口功さん、そして僕の3人で分担して作曲、データの打ち込みなどは僕が行いました。メサイヤのプロデューサーの高田さんからは「とにかくかっこいい曲を」という注文だった気がします。それまでにいくつものメガドライブの作品に携わらせてもらったので製作環境や音色のストックなども十分にあり、今考えれば相当の短期間で作り込んで行きました。

 ひとつの作品を作り上げ、店頭に製品が並び、自分でも(相当プレイは下手なのだが)出来るところまでゲームも遊んでみるのですが、各兵をどこにどのように配置するかで戦局が変わり、これは面白い!と思いました。当時のお父さんのなりたい職業の1番は「野球監督」でしたが、戦局を意のままに指揮する様はまさに「監督」そのもの。男心をくすぐる!

 その後に「2」のお話が来ました。シリーズものは作曲者にとってもとても嬉しいこと。曲数も増え前回以上に頑張ります!と伝え、改めて資料を読み思考を巡らす。うるし原さんの絵が素敵(というかきわどい)。面白いキャラが増えている。「かっこいい曲を!」という基本路線はそのまま、バリエーションを豊かに、ノリを良く、FM音源特有の切れのある音をさらに磨きあげて楽曲を作っていきました。

 そういえば「2」が出たころかな?巷ではDTM(Desk Top Music)が流行り始め、一般の方々が自分の耳で聞いた音をコンピューターを使って再現し、それをネットで発表するということが出来るようになり、ラングリッサーの曲も大勢の方々がコピーして作ってくれました。譜面も出てないし、とにかく無茶をしてる曲が多いのに、それを真剣に耳コピーして「聞いてください!」とCDを送ってきてくれたり、ネット上にアップされてたり。著作権法での取り締まりのためにこの文化は消えてしまいましたが、ホントもったいなかった。こうやって自分の好きな曲を自分で耳コピーして発表してた人の中に、その後にプロになった人は何人も知ってますからね。あーもったいない!

 おっと、話がそれました。「2」が出来たころか、製作中に、この作品でコンシューマーの全機種を制覇しよう!ということになり、その後に、PCエンジンFX、スーパーファミコンなども作っていきます。またサントラやドラマCDを作ったりとマルチメディアな展開も合わせて行い、知名度もアップしたのだと思います。

 「3」は作曲は藤岡さんの方に戻り、歌ものがとても印象的でした。僕は特に何の関与もしてませんが、テーマ曲の提供だけしています。

 このコンプリート版ともいえるCDたちは、僕がゲーム音楽を作り出す初期の頃から携わってきた作品たちだけに、本当に感無量というか、自分の歩んできた曲作りの歴史を聞くことが出来て、うーん、恥ずかしいやらこそばゆいやら、時々聞きながら「ギャ!」って叫んでしまったり、耐えきれなくて音を止めたり、、、、と、まぁ相当ヤバいのですが、当時このゲームを遊んでいる方にはきっと懐かしさもあり、青春の思い出もあり、やっぱり同じように「ギャ!」と叫んでいるかもしれませんね。「ラングリッサー」を知らない方たちはどう思うんだろう?今、Wii Uでゲームをダウンロード出来ますしね。是非遊んでみてください。当時のキャッチコピーは「一生遊べるゲーム」です!そして是非感想を聞かせてくださいね。

 タイトルにはVOL.1と書いてあるので、VOL.2も出るんですよね? また「ギャ!」とか叫んじゃうかもしれないけれど、今から楽しみです!!

岩垂徳行(いわだれのりゆき)


メサイヤ ゲームミュージックコレクション VOL.1 ~ラングリッサーⅠ・Ⅱ・Ⅲ~